増患・増収支援TOP > chapter8.自費診療よりも保険診療を
歯科医院の経営者にとって、自費率の向上は課題の一つだと思われます。今月は自費診療をどのように考えていくべきかについて、お伺いします。宜しくお願いします。
宜しくお願いします。
自費率は闇雲に向上させればいいというものではありません。例えば、10万円の自費診療を行ったとします。型を取るのに30分かかりますし、セットをして、フォローを2回するとなると、30分の枠が4枠、必要になります。合計したら、2時間で10万円となりますので、1時間当たり5万円なんですよ。これなら、保険診療でも十分です。
そうですね。「時間」という感覚は大事ですね。
5時間かけても6万円というケースもありますからね。自費診療で神経を使って治療して、それからクレームにも対処してとなりますと、とても大変です。
そうなると、保険診療中心で行っていった方がいいのでしょうか。自費診療の割合はどのぐらいがベストだと考えていらっしゃいますか。
自費診療は2割程度あれば、十分ではないでしょうか。
日産自動車の経営が悪化していったときの原因の一つに、主力をサニーからシーマへシフトしていったことが挙げられます。高額商品に頼ると、最終的に経営上はうまくいかないと云われてますよね。
トヨタ自動車のレクサスは高級車ですが好調のようですね、こちらはどうしてでしょうか。
これは主力のプリウスが好調に売れていて基盤がしっかりしているからできることなんです。またレクサスには購入しやすい価格から高額のものまで多くの車種があります。このうち、高額車種はあまりCMに出ることはありません。あくまでも購入できそうな価格帯の車種だけを宣伝していますね。
なるほど、高額の商品を扱うには注意が必要なんですね。
私が三井銀行に勤務していた頃、日本長期信用銀行や日本興業銀行の人たちから「ドブネズミ」と呼ばれていました。銀行は1円の勘定が合わなくても徹底的にしらべますが、長銀や興銀の人たちは1000万円単位でないと扱っていませんからね。信託銀行の人も「うちの最小ロットは500万円」なんて言っていましたよ。私たちが3時に窓口を閉め、5円足りないと大騒ぎしていた頃に、彼らは悠々としていたのです。でも、バブル崩壊後に破綻してしまったのは長銀や興銀でした。インプラントの現状を見てもハイポイントビジネスは脆弱と心得るべきです。レーシックも一時ほどではないですよね。
今はデパートよりもスーパーマーケットの方が元気ですしね。
ユニクロの強さもそこにありますね。歯科医院の経営もユニクロ型でないとだダメだと思います。
つまり保険診療を重視するということですね。
そうです。基本をしっかりさせるということです。日本の歯科医の基本は悲しいかな患者さんにとって自己負担の少ない保険診療です。
歯科医院の場合、どのくらいの来院患者数を目指すといいですか。
月に30人の新規患者さんに来ていただけると、いいですね。これで初診料だけで30万円になります。
この数字をクリアするのは非常に難しいのではないでしょうか。
30人の新規患者さんがいらっしゃらない場合は、診療所のシステムに問題がないかどうか、客観的に考えてみましょう。診療所を取り巻いている環境やマーケットが良くないのかもしれません。また、歯科医師のスキルも問題になります。
現状の分析が必要なんですね。
魚釣りと同じですよ。魚が釣れないときは、釣り人の腕が悪いのか、釣っている場所が良くないのか、もしかしたら釣り針が間違っている、のどれかが原因ですからね(笑)。
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