増患・増収支援TOP > chapter5.大人の患者さんを増やすために
先月はお子さんに対して、どのようにして認知度を高め、増患に繋げていくかということを中心にお伺いしましたが、今月はお子さん以外の世代への認知度向上について、伺っていきます。宜しくお願いします。
宜しくお願いします。私には銀行員時代の忘れられない思い出があります。私が勤めていた新宿区の支店の近くに戸山公園という大きな公園があり、都営戸山ハイツにお住まいの高齢者の方々の憩いの場となっていました。私はそこで高齢者の方々にティッシュを配ったんです。たまたま夏のキャンペーンで余ってしまった在庫のポケットティッシュが、支店に5000個ぐらい余っていたのでそれをくばったんですよ。
それから和菓子屋さんに行って捨ててしまうような羊羹の端っこを大量に買いこんで、それも配りました。皆さんから「血糖値が上がっちゃう」と言われましたけど、定期的に配り続けましたよ(笑)。そのうち、皆さんと顔見知りとなり、「何をしたいの」と聞かれましたので、「うちの銀行に年金を振り込んで欲しいんです」とお願いしたんです。「お孫さんにJCBカードをつけてあげますよ」という約束もしました(笑)。そうしたら、年末に年金口座を200口、獲得することができたんです。それまで30口しかなかったのが200口になったんですよ。
そういった手法は歯科でも有効でしょうか。
高齢者の方々がターゲットでしたら、公民館も狙い目ですね。公民館では詩吟や料理、絵画、切り絵、パッチワークなどの教室を開催しています。そういった教室に対し、「うちの歯科医院に展示してみませんか」という提案をするんです。診療所の内部に作品の展示コーナーを作り、一つの展示を2週間ずつ行えば、1年間に26回分の催しができます。作品を展示された方の多くは患者さんになってくださるはずですよ。
公民館の教室はいいですね。
公民館のみならず、カルチャースクールでもいいですよ。古くから教室を開いてる先生のところよりも、カルチャーセンターをターゲットにした方が宣伝効果に繋がります。かなりの人が見に来ますし、高齢の患者さんを少くなからずとも増やすことができます。
ほかに誕生日プレゼントもいいですね。
どのようなプレゼントをなさっているんですか。
毎月、どの患者さんが誕生日を迎えるか、マネージャーがチェックしています。そして、歯磨きや歯ブラシをプレゼントするんですね。サラリーマンの方々もバレンタインデーには義理チョコをもらえても、誕生日に祝ってもらうことはほとんどないそうです。ですから、ちょっとした幸せ気分になるみたいです。このように、人が集まってくるための方法は沢山ありますし、また方法を考えることも楽しいですよね。
私は以前、シャッター通りになってしまった商店街の活性化を図ったこともあるんです。
どのような手法を採られたのですか。
東京都内には5つの美術大学があり、写真の専門学校もあります。そういった学校に行き、シャッター商店街に作品を展示することを提案しました。アクリックなどの塗料で下書きをすると後からパリパリ取れますから、シャッターに描くことができるんです。
そこで100本のシャッターに作品を描いてもらい、コンペティションを行いました。投票後、一番の人に賞を出したんです。参加者は1人いくらかの参加費を払うこと、商店街は表彰状を用意することと通りがかった人に投票していただくことぐらいの負担で済みました。手間もお金もかからないのでなかなか好評でしたね。町の人たちの人通りも増えました。
学生は作品の写真を撮りますので、就職活動の際に企業へのプレゼンツールにもなりましたし、最終的には商店街の認知度も向上しました。
認知度を高めるために、ほかに必要なことはどんなことでしょうか。
大事なことはイメージを上げることではないでしょうか。具体的な方法の一つとして、私どもでは歯ブラシを販売しません。どうしてもという方もいらっしゃるので、1週間に2、3本は売りますが、その程度ですね。私はスタッフに「歯科医院で買うと高いんですよ。ドラッグストアーの方が遙かに安く買えますよ」と言うように伝えているんです。そうすると、患者さんは「教えてくれて、ありがとう」と感謝してくださるんですね。そこでイメージが上がります。患者さんにとって得した情報と正しい情報を教えて上げることが大事なんだと思います。
「教えること」は心配りや気配りと同様のサービスなんですね。
私どものスタッフは心配りや気配りにも努めています。朝一番のチェアは冷たくなっているので、患者さんに膝掛けやブランケットをお渡ししたり、「ほかの患者さんがいないから、携帯を使っていいですよ」と言ったり、「あと15分ぐらいあるから、スーパーに行ってきてもいいですよ」と言ったりしています。それで、患者さんは気持ちが楽になり、クレームも少なくなるのだと思うんです。患者さんは私に対して歯科医師としての敬意をお持ちですが、私は人間同士でのフレンドリーさを持つことを大切にしたいと心がけています。
昔の歯科医師の方がフレンドリーだったと聞きますね。
昔の先生たちは街でよく飲んでいましたよね。焼鳥を少し食べて、次の店に移り、7軒ぐらいハシゴしていた先生もいました。帰りは酔っ払って、電柱にぶつかったりもしていましたけどね(笑)。でも、このフレンドリーさで認知度が上がったのかもしれません。患者さんを集めて食事会をなさっていた先生もいましたね。居酒屋でしたら、1回で数万円しかかかりません。スタッフとの飲み会と一緒でもいいと思いますし、患者さんの誕生月ごとに開催すれば、患者さん同士も仲良くなるのではないでしょうか。患者さん同士で新しく野球チームを作ったりなど、歯科医院を中心にした輪が地域に広がっていくんですね。 今の先生方はどちらかというと開業している街で飲まないようですが、その地域に住んでいないのであれば、せめて飲みに行ってフレンドリーさを高めましょう。歯科医院で患者さんを待っているだけなら、認知度は上がらないと思うのです。
認知度向上のために、今の歯科医師に望まれることはどんなことでしょう。
歯科医師自身が宣伝媒体になると意識することではないしょうか。
銀行員時代に上司に言われた台詞の一つに「銀行員自身が宣伝媒体だ」ということばがありました。名刺の出し方、靴の履き方、ネクタイの締め方に加え、靴や靴下の選び方まで細かく指導されました。
時計は高級ブランドだと反感を買ってしまうので避けるようにして、スーツや靴、ネクタイはなるべく良いものを選べと言われたんです。私は海外ブランドのネクタイを愛用していたので、給料のほとんどがネクタイ代になくなっていました(笑)。
採用担当者は学生へのアピールになりますので、特にイメージ作りが必要だったと思います。
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