増患・増収支援TOP > chapter3.クリニックの認知度を高めるために
今月はクリニックの認知度を高めるための方法論について、お話を伺ってまいります。どうぞ宜しくお願いします。
宜しくお願いします。ところで、今日はこちらまで電車に乗って来られたと思いますが、車内広告やつり革広告で覚えているものはありますか。きっと、ありませんよね。今朝、読んだ新聞に入っていた折込広告で覚えているものはありますか。これも覚えていないでしょう。したがって、クリニックが開業前に車内広告や折込広告をしても宣伝効果は薄いのかもしれません。
開業前にパーティーをなさるところはありますね。
300人規模程度のパーティーをされるところもありますが、パーティーでの告知は瞬発的なもので終わってしまいます。やはり継続的に認知度を上げる取り組みが必要なのです。昔の歯科医師は町内バレーボール大会や卓球大会、運動会、リレー大会、ハイキングやバーベキューなどイベントをやっていました。小学校での講演活動も盛んでしたね。また、昔の歯科医師には地主の息子さんが多かったので、大きな建物の歯科医院を構えることができたんです。建物が大きいと、それだけ認知度も高まります。
今はビル診が主流ですものね。
そうです。この通りに何軒の歯科医院があったか、記憶していますか。答えは4軒です。私どものところに来るという潜在意識があって、歯科医院というキーワードが脳内にあるはずなのに、この通りにどんな歯科医院があったのかは覚えていないものなんです。ビル診だと、建物の認知度が低くなってしまうんですね。ですから、ここに歯科医院があるのだと認知していただけるようなビジネスをやらないといけません。
場所を認知していただくということでしょうか。
人は知らないところには行きません。駅からここまでATMがあったのは覚えていますか。三菱東京UFJもみずほもありましたよね。ATMは簡単に認知されるんです。銀行は認知度を上げ、イメージを向上させるビジネスに実は長けているんです。この通りには日高屋も吉野家もミスタードーナツもありますが、それよりも銀行は最も目立つんです。全住民のほとんどが銀行がある場所を認知しているはずですよ。
歯科医院の場合はいかがでしょう。
全住民のうちの50%が歯科医院の存在を知らないと、選んでもらえません。私どものところは80%の認知度があります。街のあちこちに歯科医院があることと、スタッフもよく商店街を歩いているからだと思います。街の方から「よく街にいるね」と声をかけていただくぐらいです。「ここに歯科医院がある」ということをアピールするために折込広告を入れるぐらいなら、そのチラシを歯科医院の前で配布するといいですね。折込広告は歯科医院の前を通らない人にも配布されてしまいますが、あくまでも歯科医院の前を歩いている方に認知していただくことが大切なんです。1万枚を配布すれば十分でしょう。
チラシもそうですが、テイッシュなどでも受け取らない方は多いのではないですか。
受け取ってくださるものを考えればいいんです。バレンタインデーの前であればチョコレートもいいですよ。チロルチョコなら10円で仕入れることができますしね(笑)。私どもが以前、行ったのが定規の配布でした。15センチから20センチぐらいの定規や三角定規などのセットを30円ぐらいで仕入れるんです。私どもでは開業前の宣伝広告費の上限は1万円ですから、50円のものであれば2000人に配ることができます。近くの小学校の入学式や卒業式前の時期には特に喜ばれますね。
ほかに好評だったのはどんなものですか。
パンジーの花が意外と好評でしたよ。1個20円のパンジーを500個、仕入れました。そして患者さんに「成長の様子を写真に撮って送ってください」とお願いして、院内の掲示板に貼っていったのです。これはリターンにつながるビジネスになりましたね。ほかにモヤシを配ったこともあります(笑)。こういったプレゼントは患者さんのご自宅で話題になりますので、有効です。年に4回程度、行うことで、継続して認知度を上げていくといいでしょう。
第一印象は大事ですよね。
私は銀行員時代、採用も担当していました。採用される側は最初の3分で決まると思っていますが、採用側は最初の3分は捨て、4分後を見ていこうとします。最初の3分で間違ったイメージを持ってしまうと、判断でミスをしてしまうんです。4分経ったら、どんな人なのか、頑張れそうな人なのか、都心の店舗に向いているのか、郊外の店舗に向いているのかなどを見極めていきます。逆に言うと、歯科医師は最初の3分で決まります。最初のつかみを大事にして、何回か通っていただくうちに本質的な部分で惹き付けるのです。そして、診察終了後も大切です。
どう終了させれば、いいのですか。
診察終了日は無料にするのです。カルテにも入力せず、スケーリングのみをボランティアで行います。これは患者さんには強いインパクトを残しますよ。最後の診療で650円をいただくよりも無料にして終わりにしますと、患者さんはかなり喜ばれます。そして、「あの先生はタダにしてくれた」とほかの方に口コミしてくれるんです。それで、ほかの患者さんも「私もタダになるの」と尋ねてきますので、「あと3回でタダになるよ」と伝えます。これは認知度向上に効果的な方法です。
どのぐらいの新規患者数があれば、いいのでしょうか。
毎日2人が来て、月に60人が来れば、年間720人になります。10年で7000人、30年で21000人ですから、毎日2人来れば、ゾーンシェアの4割を獲得できる計算になります。歯科医院が2割余っているなら、半歩出ればいいのでしょうが、歯科医院の6割が余っているのですから、抜きん出るのは半歩では不十分ですね。
患者さんの全体数も減っていますね。
1961年に比べると、患者さんの数は6分の1に減っていますし、出生数も減少しています。ところが、歯科医院の数は2倍に増えているんです。したがって、1軒の歯科医院に来る患者さんの数は1961年の12分の1になったということです。8%でしかないんですね。ということは、6倍の努力をしないと、1961年頃の歯科医師のいい時代には戻れないことを意味しています。抜きん出た方法を取らないと、うまくいかないんです。出身大学からもらったライセンスを院内に貼ることが抜きん出た方法なのでしょうか。また、スタッフが考えた宣伝方法は抜きん出ているものなのかどうか、検証させる教育も必要だと思います。
次回は子どもさんや若い方への認知度向上について、お伺いします。
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