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診療所で検討できるデイケア・デイサービス
Point
この2年間が介護保険リハビリテーションを始める最後のチャンス!?
診療報酬改定により、診療所では経営方針の見直しに迫られているところも多いようです。
特に、整形外科を取り巻く外部環境の大きな変化として、医療封建による要介護者に対する維持期の外来リハビリから介護保険リハビリへの移行猶予期間が2年間再延期することが決まりました。2014年度診療報酬改定では「介護保険リハビリテーション移行支援料(500点、患者1人につき1回)が新設され、今回改定ではさらに「運動器リハビリテーション料」が一部減額されました。次回改定では、維持期の外来リハビリが廃止される公算は非常に大きいと言えます。
今後は、地域における「かかりつけ医」としての役割を見定め他機関(他法人のデイケア等)との関係性構築、また介護保険リハビリ事業所の立ち上げも視野に入れながら、その相乗効果による「地域包括ケアシステムの推進」の中心的役割を担う存在感のある診療所を目指されてはいかがでしょうか。
通所リハビリテーション(デイケア)の検討
たとえば、現在、介護保険リハビリを提供していない診療所における方向性としては、「みなし要件」を活用した「通所リハビリテーション(以下、デイケア)」の検討などがあります。自院の隣・近隣に良い物件(空き地)があれば追い風になります。65歳以上の要介護高齢者の患者割合などリハビリニーズがどのくらい期待できるのかを調査し、検討する余地があります。
【通所系サービスの普遍的機能】
区分 |
通所系サービスの機能 |
実施内容等 |
通所リハ |
医学的管理
・医師の診察等による医学的管理
・看護師による処置等の医療機能 |
・通所リハ担当医と主治医が情報交換を行い、定期的な診察等により疾患管理を行う。
・通所リハ担当医の指示に基づき、看護職が処置等を実施する。 |
心身・生活活動の維持・向上
・早期退院・退所者、在宅にて急変した方への専門的リハビリテーション医療
・生活活動(ADL/IADL)の各好意を維持・向上するリハビリテーション医療 |
・医師の指示に基づき、PT・OT・STが専門的観点から評価し、チームとして目標設定を行い、その設定された期間内にて心身機能や生活活動(ADL/IADL)の各行為の維持・向上を図る。
・自宅訪問等、当事者の日々の暮らしを把握する |
共通機能 通所介護 通所リハ |
社会活動の維持・向上
・日常の健康管理、自立した生活に資する社会的活動・参加機会の確保
・地域での自立した暮らしに資する知識・技術の啓発 |
・利用時の体調管理や、関連職種による運動指導等、活動の機会の確保
・他の利用者・職員との交流を通じた参加機会の確保により、社会性の向上を図る。
・暮らしに必要な知識・技術について、当事者・家族に専門職の立場から啓発する。 |
介護者等家族支援
・介護者等家族の支援
①精神的介護負担軽減(お預かり機能等)
②身体的介護負担軽減
(介護環境調整や介護時術向上による負担軽減) |
・サービス利用(いわゆるお預かり機能)による介護者等家族の直接的負担軽減を図る。
・介護者等家族の心身及び介護環境の両面にわたる負担の軽減を図り、介護技術向上をはじめ、介護者等家族の社会参加を含めた介護者支援を行う。 |
リハビリの成果を出す=加算で評価
デイケアを立ち上げ、その後も安定した事業所経営を行うためのポイントとして、①コンセプト(デイケアの機能)を決める。②メリハリのあるリハビリプログラムを実践する。③その成果として加算を取得する。の3点があげられます。
2015年の介護報酬改定により、デイケアには(1)リハビリテーションマネジメントの再構築、(2)社会参加などのアウトカムの評価、(3)活動・産科に焦点を当てたリハビリプログラムの強化、と3つの大幅な見直しが行われました。
(1)については「リハビリテーションマネジメント加算Ⅰ(月230単位)・Ⅱ(改質器から6か月以内は1カ月当たり1,020単位、開始月から6か月超は700単位)が設定され、短期間でのリハビリ成果に高い評価が与えられました。
(2)では、「社会参加支援加算(1日当たり12単位)が新設され、評価対象期間内にリハビリを終了した利用者のうち5%以上が地域サロンや通所介護等の利用に移行できた場合、翌年度から利用者全員を対象に算定できるようになりました。
(3)については、従前の「短期集中リハビリテーション実施加算」と身体機能の回復を目的とした「個別リハビリテーション実施加算」が「短期集中個別リハビリテーション実施加算(退院(所)日・認定日から3か月以内は1日当たり110単位)」に統合されました。
また、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)、身体機能維持の先にある社会参加を見据えた「生活行為向上リハビリテーション加算(開始月から3か月以内は1カ月当たり2,000単位、3か月超から6ヵ月以内は1,000単位)」も新設されました。
リハビリに求められる「回復から、活動意地と地域社会への参加
地域包括ケアシステムを構築していく上で、リハビリテーションには「病院・診療所で治療を受け(心身機能へのアプローチ)、生活場面の目標に基づいて、デイケア(その他介護保険サービス)で社会参加に向けたリハビリ(活動へのアプローチ)で結果を出してください(参加へのアプローチ)」ということが求められるようになりました(図1)
図1:高齢者リハビリテーションのイメージ
【出所】
社保審ー介護給費分科会 第106回資料1「平成27年度介護報酬改定に向けて」より
ここでいう生活場面の目標とは、「家族と旅行に行きたい」「以前のように1人で買い物や家事ができるようになりたい」といった個別・具体的な内容をさし、リハビリを通して、患者ごとのQOL(生活の質)の向上を図ることが大きな役割となります。