ひとくち税務・経営講座>知っておきたい税務用語:第11回 セルフメディケーション税制

知っておきたい税務用語

第11回

セルフメディケーション税制

所得税法では、支払った医療費等に関する税制として、「医療費控除」があります。これは年間に支払った医療費が10万円(あるいは総所得金額等の5%)を超えた場合、超えた金額を所得から控除できるおなじみの制度ですが、平成29年以降の5年間につきましては、医療費控除の特例措置として導入された『セルフメディケーション税制』との選択適用ができるようになります。
 医療費控除を適用するほどの医療費を支払っていなくても、OTC医薬品等をよく利用される方で一定の条件を満たせば税金が減額されるその新たな税制について、今回その概要をご紹介いたします。
セルフメディケーション(自主服薬)
推進のためのスイッチOTC薬控除
(医療費控除の特例)の創設(所得税、個人住民税)

(出所:厚生労働省HP)

1.大綱の概要

 適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(※1)を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品(※2)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。

(※1)特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診
(※2)要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から 転用された医薬品
 ( 類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)
(注)本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることができない。

2.制度の内容

■対象となる医薬品(医療用から転用された医薬品:スイッチOTC医薬品)について

○スイッチOTC 医薬品の成分数:82(平成27年12月1日時点)
-対象となる医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬
 (注)上記薬効の医薬品の全てが対象となるわけではない
-具体的な対象医薬品の範囲等は、税制改正法案成立後、関係者と協力して周知を行っていく。

「一定の取組」証明方法について

(出所:厚生労働省HPより作成)

所得控除を受けるための、健康の保持増進及び疾病の予防への主な取組は下記になります。
該当する書類を、確定申告の際に提出・提示ください。

提出書類には次の①~③の記載が必要です。
①氏名
②取組を行った年(平成29年1月1日以降に受診し、確定申告の対象となる年と同一の年に受診したものであること)
③事業を行った保険者、事業者若しくは市町村(特別区を含む)の名称又は診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名。
この制度の対象となるOTC医薬品の多くには、
下記のような認識マークが表示され、
購入時に発行されるレシートにも対象製品であることが記載されるようです。