ひとくち税務・経営講座>知っておきたい税務用語:第10回 個人開業医の決算作業

知っておきたい税務用語

第10回

個人開業医の決算作業

個人開業医は、毎年、事業所得の申告書を3月15日までに所轄税務署に提出する事はご承知いただけていると思います。
今回は確定申告に向け、診療所が行う実務的な内容をご紹介いたします。

①12月末日の棚卸

棚卸とは決算日において残っている薬品などの在庫の数量をかぞえ、在庫の金額がどれだけあるかを計算することです。この棚卸をやることには損益を把握するためなどの重要な意味があります。
*院内のみならず、外部保管しているものや仕掛品状態の計上が忘れがちです。ご注意ください。

②未収金の確定

 12月末日において、すでに治療が終わっているが、代金が未収になっている金額、並びに未請求になっている診療分の金額を確定させます。

③未払金(買掛金)

12月末日において、納品は完了している薬剤、物品等購入品で、支払が完了していない金額を確定させます。

④前受金の確定

 患者様から治療費を先行して預かっている場合等で、まだ収入計上時期に来ていない金額を確定させます。

⑤その他の確認

⑥給与

事業所得以外の活動も確定申告に含まなくてはなりません。
*給与所得ですので、源泉徴収票を支払先から取り寄せて手元に準備して下さい。

⑦雑所得

書籍等執筆活動や研究会等の講演活動がある先生も支払先より、支払調書の控えをいただいて下さい。
*こちらの活動費が事業所得の経費に誤って算入されてしまうケースが見受けられます。ご注意ください。

⑧その他

事業やお医者様としての活動以外に、一年を通じて生命保険の満期や不動産の売却など、申告の必要な出来事がある場合はその資料を準備をして下さい。
いかがだったでしょう。
個別事情により作業はまだありますが、今回は一般的な作業をご紹介致しました。

税務会計はちょっと複雑ですが、個人開業医になられますと、ずっとつきあっていくものです。
どうぞこれを参考にして、確定申告を御迎え下さい。