ひとくち税務・経営講座>知っておきたい税務用語:第9回 所得税の所得区分

知っておきたい税務用語

第9回

所得税の所得区分

所得税法における所得の区分

個人の所得はその性質によって10種類に区分され、税法上の取り扱いが個々に違います。
開業し事業主となった場合に、その活動によってどう区分されるか、解説させていただきます。
1.利子所得
預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託等の分配金です。
事業用の預金口座等の受取利息は診療所の収入ではなく、利子所得として計上されます。
原則としてその支払を受ける際、20.315%の源泉徴収がされて入金されます。(源泉分離課税)
2.配当所得
株主や出資者が法人から受ける配当です。
源泉分離税が原則ですが、特定口座内での譲渡損との通算が可能です。
通常の確定申告の税額控除により還付の場合もあります。
3.不動産所得
主には、土地や建物などの不動産の貸付けによる所得です。
貸家マンションなどを他人に貸す場合の所得は不動産所得になります。
赤字の場合は土地負債利子の一部を除き他の所得と通算可能です。
4.事業所得
医業・歯科医業から得る所得です。
事業に係る収入から事業に係る必要経費を引いて計算します。
他の所得の収支が入らないようにしなければなりません。
5.給与所得
給与及び賞与です。
給与の金額に応じて給与所得控除があります。
産業医報酬は給与所得に該当します。
6.退職所得
退職により勤務先から受ける退職手当等です。
(退職金一退職所得控除額)×1/2が退職所得の金額です。(課税の軽減があります。)
①退職金受け取り ②源泉徴収されている ③同じ年に開業 ④事業所得が赤字
上記①~④について全て該当する場合は源泉徴収された所得税が還付される事があります。
手続き忘れに注意してください。
7.山林所得
普段は馴染みがありませんが、山林を伐採等して譲渡することによって生ずる所得となります。
8.譲渡所得
土地、建物、ゴルフ会員権・車 などの資産を譲渡することによって生ずる所得です。
長期・短期の区分(5年)と種々の控除があり、税率の違いもあります。
9.一時所得
診療所経営など継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務・その税務又は資産の譲渡の対価として性質を有しないものです。一般的には保険の満期等があります。
(収入金額-収入を得るために支出して金額-50万円)×1/2に課税されます。
10.雑所得
上記の1~9までの所得のいずれにも該当しない所得です。
例えば、公的年金等の受取り、生命保険契約に基づく年金の受給・研究・講演会・原稿の執筆による手数料の受取りなどです。
上記の通り分類された各所得は、そののち総合課税、分離課税の計算方法で課税される税金が決まっていきます。