ひとくち税務・経営講座>知っておきたい税務用語:第6回 医師優遇税制
知っておきたい税務用語
第6回
医師優遇税制~措置法第26条~
医師優遇税制とは…
医師優遇税制はいくつかありますが、最も有効的な優遇税制は租税特別措置法26条です。
措置法26条とは、事務所得における概算経費の特例です。簡単に言うと、実際にかかった経費以上の経費を控除できるという制度です。ただし実際使った経費が概算経費をうわまわるケースもありますので、その場合は実際かかった経費の方を経費の額とすることが出来ます。
措置法第26条
通常、課税対象となる事務所得は、収入金額から収入をえるために使った必要経費を控除して計算します。
しかし開業医の場合には、実際使用した必要経費に変えて概算経費の額を適用できます。この優遇税制は、社会保険診察報酬の所得によって設定が異なってきます(表1)。
医業および歯科医業にかかる総収入金額が7,000万円以下かつ社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合には、「社会保険診療報酬の所得計算の特例」が適用できます。
表1:措置法26条
社会保険診療報酬 |
必要経費に算入する金額 |
2500万円以下 |
収入金額の72% |
2500万円超~3000万円以下 |
収入金額の70%+50万円 |
3000万円超~4000万円以下 |
収入金額の62%+290万円 |
4000万円超~5000万円以下 |
収入金額の57%+490万円 |
イメージ図
例えば、5,000万円の社会保険診療報酬だった場合で、実際2,500万円(50%)の経費を使用していたとしたら、概算経費で3,340万円(57%+490万円=66.8%)の経費を認めてもらえます。そうすると、本当は課税所得が2500万となるところが1660万円(5,000万ー3,340万円)となります。
つまり、年間売上が5000万円が医師特例課税の分岐点と言えます。5000万円以上になってきたら法人化による節税を検討しましょう。