ひとくち税務・経営講座>知っておきたい税務用語:第5回 寄付金
知っておきたい税務用語
第5回
寄付金(ふるさと納税など)
寄付金とは・・・
最近では、すでに多くの先生方がご利用になっているふるさと納税も寄付金の一種です。また、熊本地震などに際して寄付を考えられている先生や、すでに寄付をされた先生方も多いことと思います。
一般的に、「寄付」とは「対価を得ずに組織・団体に贈った金銭」とされています。
税法における寄付金は「金銭、物品その他経済的利益の贈与または無償の提供」とされていますが、前者よりもやや範囲が限定的になっています。
また、所得金額に応じて限度額が変わります。限度額以上の寄付をしても税制上のメリットを受けられないので注意が必要です。
個人(所得税)と法人(法人税)の寄付金税制の違い
寄付金と一口に言っても、税法上はその内容や寄付者が法人か個人かにより取扱いが異なります。
大きな違いは、一般に寄付金が法人では一定の範囲内で損金算入可能であるのに対して、個人では所得控除の対象ではないという点です。
表1 所得税と法人税の寄付金税制の比較(主なもの)
区分 |
所得税 |
法人税 |
①国又は地方公共団体に対する寄付金 |
特定寄付金として、一定の金額を所得控除
(公益社団法人等、認定NPO法人等又は政党等に対する寄付金で一定の者については税額控除を選ぶことができます) |
支出額の全額を損金算入 |
②指定寄付金 |
③特定公益増進法人に対する寄付金 |
一般の寄付金とは別枠で寄付金の額の合計額と特別損金算入限度額とのいずれか少ない金額の範囲内で損金算入 |
④特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭 |
⑤認定NPO法人等に対する寄付金 |
⑥政治活動に関する寄付金 |
損金算入限度額の範囲内で損金算入 |
⑦一般の寄付金(上記以外) |
所得控除されない |
(国税庁HPより)
ふるさと納税
上記「ふるさと納税 イメージ図」のように、寄付額から2,000円を控除した金額が翌年の納税額より差し引かれることになります。簡単に言えば、「税金の前払いをするとおまけで返戻品がもらえる」といったところでしょうか。
返戻品の中には、お肉やお米などの食料品やゴルフのプレー券など様々なものがありますので、どんなものがあるのか探してみるのも面白いかもしれません。
また、昨年度よりワンストップ特例制度により、給与所得者であって寄付先の団体が5団体までであれば確定申告が不要になったほか、クレジットカードでの支払いも可能になるなどより手軽に利用できるようになりました。
熊本地震に対する義捐金
熊本地震に対する義捐金は、熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して直接義捐金を支払った場合や募金団体を通した募金であっても、最終的には地方公共団体に拠出される寄付であれば個人で特定寄付金、法人では国等に対する寄付金に該当することになります。
また、被災自治体の業務負担の軽減を目的として他の自治体を窓口としながら直接被災自治体に寄付ができる仕組みなどもあります。その場合は、ふるさと納税として取り扱われますので、前述のワンストップ特例制度も適用できます。
*どのような寄付金であっても、申告の際には寄付先から送付される寄付金控除証明書の添付が必要となります。